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ハイヒールというアイテムに宿る濃厚な女

不思議なもので、人間は多少とも高いところに立つと、それだけで自分が少しエラくなったような錯覚を覚えてしまう。そして女は高いヒールの靴を履くと、それだけでイイ女になったような錯覚を覚えてしまう。おそらくそこには、単純な高さと「ハイヒールというアイテムに宿る濃厚な女」がダブルで作用し、だから女は「イイ女」になれるのだ。たとえば、メイク写真の撮影の時、顔しか写らないのに、モデルにわざわざ9センチヒールを履かせるカメラマンがいる。たとえ足もとがまったく写らなくても、スニーカーを履いた顔と、ハイヒールを履いた顔はまったく違う。まるで別人のようにちょっと高飛車なイイ女の顔になるから、ジャージーのパンツをはいているモデルにも、9センチヒールを履かせるのだ。逆を言えば、いつもハイヒールの女がフラットシューズに履きかえた時、たぶんまた違ったオーラが生まれるはずだ。少なくともいつも肩に力が入っていたハイヒールの女は、程よく力の抜けた優しい表情に変わる。