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二棟目の「女子限定アパートメント」

翌日の土曜日。大雪原の中の田舎道を、東に向かってひたすら走る。一八万円で購入したトヨタのチェイサー4WD(通称・大東亜決戦号)のエンジンも快調で、極寒の北海道の凍結した道路を健気にも走ってくれる。銀世界の中を東へ三五キロ走り、現場に到着。所要時間は約四〇分。路面の乾いている時期であれば、三〇分で行ける。自主管理ができる範囲だ。住宅地に建つ物件が一〇〇メートルくらい先に見えた時、胸がドキドキした。なぜか「この物件、ワタクシが購入するまで、一七年間、ここで待っていたんだ」という気持ちになった。到着して、初めて現物を見る。想像より大きい。階段の柱も太い。外壁の傷みも少ない。なぜか物件から女性のシャンプーの甘い匂いがする。なんでこんな匂いがするのかわからなかった。現場で待機した後、待ち合わせの一四時になったので、Iさんに電話を発信。約一〇分後、売主様と一緒にやってきた。ワタクシは、車から降りた直後の六〇代後半の売主様に駆け寄った。「このステキな物件を、是非、譲ってください。ワタクシ、頑張って維持しますので、是非、お願い致します」ワタクシは、深々とお辞儀をした。「わかった。とりあえず部屋を見よう」入居者の許可を得ているようで、入居中の部屋の内部を見せてもらった。八畳+三畳のキッチンで、バス・トイレ別。女性の部屋のようで、ぬいぐるみがベッドの上に置いてある。なかなかキレイだ。この瞬間、購入を決意した。「お願い致します。是非、譲ってください」「わかった。では、うちに来たまえ」Iさんの運転する車のあとについて行き、物件の近所に住む売主様の家に到着。なぜ、こんなにステキな物件を売り出すのか理由を聞いてみた。「親戚のビジネスが行き詰まり、融資をした。しかし、返済できなくなり、その借金の肩代わりにこの物件を入手した。嫁は売却に反対しているが、そろそろ引退したい」とのことだった。結局、七五〇万円で譲ってもらえることになった。数週間後の仮契約の時、初めてこのアパートメントの入居者が女子のみということを知り、甘いシャンプーの匂いの理由がようやく理解できた。数日後、手付金として一〇〇万円を入れた。二〇〇五年三月二一日決済。祝日だったが、現金決済なので問題ない。決済場所は、売主様宅。司法書士の先生にも来てもらった。残金の六五〇万円と仲介手数料、税金などを支払う。決済のために、すべて新券を用意した。帯が付いた六〇〇万円を渡したが、売主様は特に確認しない様子だ。契約から決済までの1ヵ月の間に、女学生の入退去者が四名いたが、すべて売主様がやってくれた。ありかたい。この物件が二棟目の「女子限定アパートメント」だ。

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