ファッションに染まっているメディアがひとつだけだとしたら、それも仕方ないと思えなくもないが、現実はそんなもんじゃない。ファッションとエンタテインメントがすんなり溶け込んだ新たな形で、毎日毎日、あらゆるメディアが私たちを攻めてくるのだ。「楽しいニュースの女王」の異名を取るベルキスーネレイ。マイアミのフォックスーテレビ系列局WSVNで担当している仕事のひとつが、毎週放映されている「ファッションフォワード」という二分間のコーナーだ。テーマは「今、何がはやっているのか、それはどこで手に入るか、誰がどんなものを持っているか」。彼女は、いろいろなトレンドを毎週ひとつずつ取り上げる。フラッグ(旗)ファッション、ブーツ、グリク(ギリシャ風)・シック。そして、地元の商店主などとおしゃべりをして、こうしたアイテムがどこで手に入るかを聞き出すのである。彼女は、自分はファッションの専門家ではないので間接情報に頼っている、と認めている。「実は私自身、『ヴォーグ』や『バザー』『インースタイル』『ヴァニティーフェア』『マリークレール』の読者なの。だから、どんなものがはやっているかはわかつてるし、普通は自分も持っているわ。でも、他にも大規模店や小さなブティックをあたって、撮影日にどんな商品が揃っているのか知ろうと心がけてるのよ」。「ファッションフォワード」のようなコーナーは、全国のローカルーニュース局でおなじみの存在になった。番組の締めくくりに「排水溝から子犬救助」といった六〇秒のショートートピックスを入れるような感じと言おうか。連日、銀行強盗や殺人、レイプといったニュースばかりでささくれ立つ心を和らげるため、心地よいファッションの話題が挿入されるわけだ。スイッチを入れれば、近隣地域で起こった犯罪や事故、市議会での小競り合いなどに関する日々の最新情報とともに、ちょっとしたお役立ちファッション情報も仕入れられるという仕組みである。「テレビ番組って悪いニュースだけじゃダメなの」と。「視聴者は他の情報も混ぜてほしいと思ってるわ。言うまでもなく、一日三〇分か一時間のニュースが唯一の情報源という視聴者もいるわけだしね。そういう人は新聞も雑誌も読まないかもしれないから、ひとつの情報源で全部網羅できた方がいいのよ」。